ボーナス・住宅手当・年功序列という見えない鎖
「もう会社を辞めたい。」
サラリーマンであれば、一度くらいはそう思ったことがあるのではないでしょうか。
理不尽な上司。
終わらない仕事。
満員電車。
思うように上がらない給料。
辞めたい理由はいくらでも出てきます。
しかし実際には、多くの人が会社を辞めません。
いや、辞められません。
なぜなら、会社にはサラリーマンを引き留めるための仕組みが数多く存在しているからです。
今回は、私自身が感じている「サラリーマンが会社を辞められない仕組み」について考えてみたいと思います。
ボーナスという最強の引き留め装置
会社を辞めようと思ったとき、最初に考えることがあります。
それは退職日です。
「もう辞めてやる。」
そう決意したはずなのに、ふと頭によぎるのです。
「そういえば来月ボーナスだな。」
すると退職日が少し後ろにずれます。
そしてボーナスをもらった後はこう考えます。
「せっかく冬のボーナスをもらったし、年度末までは頑張ろうかな。」
気づけば半年が経過しています。
さらに次は夏のボーナスが見えてきます。
人間は目の前の利益に弱い生き物です。
数十万円、場合によっては100万円以上のお金を目の前にすると、なかなか捨てることができません。
結果として、
- ボーナスまで頑張る
- ボーナスをもらったら年度末まで頑張る
- 昇給を確認してから考える
- 次のボーナスをもらってから考える
というループに入ります。
気づけば1年、2年と時間だけが過ぎていきます。
もちろんボーナスをもらうこと自体は悪いことではありません。
ただ、「ボーナスをもらうためだけに嫌な仕事を続けている状態」になっているのであれば、一度立ち止まって考える必要があります。
借上げ社宅と住宅手当の威力
サラリーマンが会社を辞められない最大の理由は、実は給料ではないかもしれません。
それが住宅関連の福利厚生です。
借上げ社宅。
住宅手当。
この恩恵は非常に大きいです。
例えば家賃が8万円の部屋に住んでいて、その大部分を会社が負担してくれているとします。
毎月8万円。
年間96万円。
10年間なら960万円です。
会社から見れば福利厚生ですが、社員から見れば実質的な収入です。
給料明細には載っていなくても、会社から家賃分のお金をもらっているのと同じです。
会社を辞めるということは、
給料がなくなるだけではありません。
住宅補助もなくなります。
つまり、
給料-家賃
という状況になります。
これは想像以上にインパクトがあります。
転職後の年収が少し上がったとしても、住宅補助が消えれば手取りベースではマイナスになるケースもあります。
だからこそ多くの人が悩みます。
「今の会社は嫌だけど、福利厚生は良い。」
この状態になると身動きが取れなくなります。
会社への不満と福利厚生の恩恵。
その間で揺れ続けることになるのです。
まだ生きている年功序列
最近では成果主義という言葉をよく聞きます。
しかし実際には、多くの会社で年功序列の文化が残っています。
昔ほどではありません。
それでも毎年少しずつ給料が上がる会社はまだたくさんあります。
特別な成果を出さなくても、
- 勤続年数
- 年齢
- 等級制度
によって給料は上昇していきます。
若い頃は不満が多かった給料も、10年、15年と働くうちに少しずつ増えていきます。
すると辞めるハードルが上がります。
転職先で今と同じ待遇を得られる保証はありません。
むしろ年齢が上がるほど転職の難易度は高くなる傾向があります。
結果として、
「今の会社は嫌だけど、給料は上がるしな。」
という思考になります。
会社に残る合理的な理由が増えていくのです。
辞められないのは弱いからではない
ここまで読むと、
「結局みんなお金のために働いているのか。」
と思うかもしれません。
しかしそれは違います。
生活があるからです。
家族がいる人もいます。
住宅ローンを抱えている人もいます。
子どもの教育費もあります。
現実的な責任を考えれば、簡単に会社を辞められないのは当然です。
だから辞められない自分を責める必要はありません。
むしろ大切なのは、
「なぜ辞められないのか」
を正しく理解することです。
ボーナスなのか。
住宅手当なのか。
年功序列なのか。
それとも安定そのものなのか。
理由を明確にすることで、自分が本当に求めているものが見えてきます。
辞めるタイミングは誰にも分からない
多くの人が悩みます。
「いつ辞めればいいのだろう。」
しかし正解はありません。
今辞めても不安。
1年後に辞めても不安。
5年後でも不安。
結局のところ、不安がゼロになる日は来ません。
だからこそ重要なのは、
完璧なタイミングを探すことではなく、自分が納得できるタイミングを決めることです。
会社に残るのも人生。
会社を辞めるのも人生。
どちらにもメリットとデメリットがあります。
ただ一つ言えることは、時間だけは取り戻せないということです。
ボーナスも大切です。
住宅手当も大切です。
昇給も大切です。
しかし、自分の人生の時間はそれ以上に大切です。
会社に残るにしても、辞めるにしても、
「自分はなぜその選択をするのか」
を明確にしておくことが、後悔しないキャリアにつながるのではないでしょうか。


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