会社ではDX化、業務効率化、生産性向上という言葉をよく聞くようになりました。
しかし、実際の会社の仕事を見てみると、まだまだExcelを使ったルーティーン作業が大量に残っています。
私の感覚では、仕事の3割から4割くらいは、毎月、毎週、毎日同じことを繰り返しているような作業です。
データをコピーする。
Excelに貼り付ける。
数字を加工する。
別のExcelに転記する。
メールに添付して送る。
翌月になると、また同じことを繰り返す。
このような仕事を見ていると、
これ、システムにしたら一瞬で終わるのでは?
と思うことがあります。
しかし、それがなかなかできません。
DX化というとスマートで格好いい印象がありますが、実際にやろうとすると全然スマートではありません。
むしろ泥臭い仕事の連続です。
そして私は、会社を本気でDX化するためには、どこかのタイミングで誰かが血を流す必要があると思っています。
もちろん、本当に血を流すという意味ではありません。
今までの仕事をやりながら、さらに業務改革の仕事を抱える。
その苦しい期間を誰かが引き受けなければ、会社はなかなか変わらないという意味です。
サラリーマンの仕事にはルーティーン作業が多すぎる
サラリーマンとして働いていると、
なぜ毎月これをやっているのだろう?
と思う仕事が結構あります。
先月作ったExcelをコピーして今月用にする。
システムからデータをダウンロードする。
Excelに貼り付ける。
関数をコピーする。
ピボットテーブルを更新する。
数字を確認する。
そして完成したExcelを誰かにメールする。
毎月同じです。
一度の作業時間が30分程度なら、それほど大きな問題には見えません。
しかし、それを10人が毎月やっていたらどうでしょう。
さらに、その仕事が10年間続いたらどうでしょう。
小さな非効率でも、会社全体では恐ろしい時間になります。
だからこそ、ルーティーン作業こそシステム化する価値があります。
大企業でも脱Excelできていない
大きな企業だからといって、すべての業務がシステム化されているわけではありません。
むしろ大きな会社ほど、昔から使われ続けているExcelが残っていることもあります。
そして、そのExcelには高確率で職人がいます。
いわゆるExcel職人です。
複雑な関数。
大量のシート。
謎のマクロ。
マクロに保護がかかっている。
その人にしか分からない仕組み。
Excel職人本人は、
このファイルがあれば仕事が楽になる
と思って作っています。
実際、とても便利なExcelもたくさんあります。
問題は、そのExcelが個人や部署の中だけで完結してしまうことです。
営業部には営業部のExcel職人。
経理部には経理部のExcel職人。
企画部には企画部のExcel職人。
それぞれが便利なExcelを作っている。
しかし、それぞれのデータはつながっていません。
結果として、会社全体を見るとExcelファイルが増えているだけ、ということもあります。
サラリーマンのExcel職人がDX化できない理由
では、Excel職人がそのまま会社全体のDX化を進めればいいのでしょうか。
私は、そう簡単ではないと思っています。
Excel職人にはExcel職人の本業があります。
営業なら営業。
企画なら企画。
事務なら事務。
その仕事を抱えながらExcelを作っています。
そして、業務担当者も自分の仕事でいっぱいです。
つまり、
現場の担当者も忙しい。
Excel職人も忙しい。
上司も忙しい。
みんな忙しい。
その結果、
DX化した方がいいよね
という話だけが何年間も続きます。
会社でよくある光景ではないでしょうか。
DX化するための時間がないから、非効率な作業を続ける。
そして非効率な作業があるから、さらに時間がなくなる。
完全な悪循環です。
業務改革には一時的な負担が必要になる
私は、ここを突破するには、どこかで一時的に負担が増える期間が必要だと思っています。
今の時代、
残業してDX化しよう
という考え方は合わないかもしれません。
もちろん、長時間労働を続けるべきではありません。
しかし、既存業務をそのまま続けながら、新しい仕組みに切り替えるのであれば、どうしても一時的に仕事量が増えることがあります。
今の仕事。
新しい仕組み作り。
データ整理。
テスト。
修正。
マニュアル作成。
利用者への説明。
すべて同時に発生します。
ここを避けて、
誰にも負担をかけずDX化しよう
とすると、なかなか前に進みません。
産みの苦しみがあるのだと思います。
ただし、その苦しい期間を乗り越えれば、その後の仕事は大きく楽になります。
別の会社の時代に私もシステム化に挑戦した
私も以前、別の会社で営業として働いていた時に、同じような経験をしました。
当時の事務処理はExcel中心でした。
毎回同じような作業を繰り返していて、
これをシステム化したら絶対に楽になる
と常々思っていました。
当時は、今ほどDX化という言葉も使われていませんでした。
しかし、業務を効率化したいという考えは同じです。
問題は、事務処理を担当していたベテラン社員でした。
長年、そのやり方で仕事をしていたため、特に仕組みを変える必要性を感じていませんでした。
私が変えたいと思っても、簡単には変えられません。
そんな中、その担当者が会社を辞めることになりました。
私は、
今しかない
と思いました。
そこで一気にシステム化に挑戦しました。
システム化は華やかな仕事ではない
システム化というと、プログラムを書いたり、格好いい画面を作ったりする姿を想像するかもしれません。
しかし、私が一番時間を使ったのはデータ整理でした。
まず、
どのデータが必要なのか。
どの項目を残すのか。
今あるデータは使えるのか。
手作業で整理しないといけないデータはあるのか。
システム完成後に誰がメンテナンスするのか。
データ形式が変わったらどうするのか。
考えることが山ほどあります。
しかも、自分だけが使えるシステムでは意味がありません。
自分なら理解できる。
でも、他の人には分からない。
これではExcel職人がシステム職人に変わっただけです。
だから、
他の人が使っても面倒ではないか
ということを常に考えながら作りました。
DX化するときは自分だけ楽になってはいけない
業務改善で大切なのは、
自分の仕事を楽にする
だけで終わらせないことだと思います。
自分だけが便利になるExcel。
自分だけが理解できるマクロ。
自分だけが使えるシステム。
これは、本当の意味での業務改善ではありません。
担当者が変わっても使える。
誰が操作しても同じ結果になる。
データが他部署でも利用できる。
メンテナンスできる人がいる。
ここまで考えて初めて会社の仕組みになります。
DX化とは、単純に紙をExcelに変えることでもありません。
Excelを別のツールに置き換えることでもありません。
仕事そのものを見直すことだと思います。
20時まで通常業務、その後にDX化を進めた
私がシステム化に取り組んでいた頃は、通常業務を20時頃まで行っていました。
そして、その後からシステム化の作業をしていました。
気付けば24時近くになることもありました。
今振り返れば、働き方としておすすめできるものではありません。
しかし、そのくらい集中して取り組まないと進まなかったのも事実です。
普段の仕事の片手間で、
今日は30分だけやろう
という進め方では、なかなか完成しません。
業務整理をしている途中で通常業務が入る。
数日空く。
また思い出すところから始める。
これでは効率が悪くなります。
ある程度の期間、集中して一気に作る。
そして完成させてしまう。
業務改革では、この勢いも必要だと感じました。
DX化は小さなルーティーン作業から始めればいい
会社全体を一気に変えようとすると大変です。
だから最初は、自分の目の前の仕事からでいいと思います。
毎週やっている作業。
毎月やっている集計。
毎日コピーしているデータ。
何度も入力している数字。
まずは、
この作業、本当に人間がやる必要があるのか?
と考えてみる。
それだけでも大きな一歩です。
Excelの関数で改善できるかもしれません。
PowerQueryで改善できるかもしれません。
Pythonで自動化できるかもしれません。
RPAが使えるかもしれません。
会社の既存システムでできるかもしれません。
最初から大きなDXを目指す必要はありません。
小さな面倒をひとつ消す。
その積み重ねが会社全体のDX化につながっていくと思います。
DX化の先には今までより楽な仕事が待っている
DX化は楽をするための取り組みです。
しかし不思議なことに、その楽を手に入れるまでが大変です。
データを整理する。
仕事の流れを整理する。
不要な作業を見つける。
人に説明する。
反対する人を説得する。
システムを作る。
テストする。
修正する。
最初はむしろ仕事が増えます。
だから途中で、
今まで通りExcelでいいか
となってしまう。
そこを乗り越えられるかどうかが大きな分かれ目なのだと思います。
サラリーマンこそ目の前の仕事を一つ変えてみよう
私は、DX化するには誰かが血を流す必要があると思っています。
ただ、その血を流す期間は永遠に続くわけではありません。
一度仕組みを作れば、その後の人たちは楽になります。
毎月2時間かかっていた仕事が10分になるかもしれません。
毎日30分かかっていた仕事がボタン一つになるかもしれません。
入力ミスが減るかもしれません。
残業が減るかもしれません。
その恩恵を受けるのは、自分だけではありません。
後からその仕事を担当するサラリーマンも楽になります。
だからこそ、自分の仕事の中に面倒なルーティーン作業があったら、一度立ち止まって考えてみてください。
これは本当に人間がやる仕事なのか。
もっと楽にできないのか。
全部を変える必要はありません。
まず一つ。
小さな作業を一つだけ変えてみる。
その小さな改善が、数年後には大きな業務改革になっているかもしれません。
産みの苦しみの先には、今より少し楽に働ける未来が待っています。


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